羽田空港の滑走路で今年1月、日本航空(JAL)と海上保安庁の航空機同士が衝突し、海保機の乗員5人が死亡した事故で、事故について調査する国の運輸安全委員会は近く、海保機内のボイスレコーダーの内容を初めて明らかにする。管制官は、滑走路の手前まで向かうよう指示していたが、海保機側が進入許可と誤認したうえ、機長と副機長による互いの確認でも修正できなかったとみられることが関係者への取材で分かった。
運輸安全委は事故調査と原因分析にはさらに時間を要するため、同種の事故を防止する観点から、海保機内の音声記録などをまとめた経過報告書を近く、公表する方針。調査を続け、今後、最終報告書をまとめる。
朝日新聞社
2024年12月15日
機長も副機長も管制指示を誤認か 運安委が音声記録公開へ 羽田事故
タワーマン:元航空管制官
補足 「管制官は、滑走路の手前まで向かうよう指示していたが、海保機側が進入許可と誤認した」とありますが、これを日本語のまま表現すれば、あり得ない誤解をしているように思うことでしょう。滑走路の手前まで向かうよう指示というのは「taxi to C5 holding point」と言います。taxiは馴染みがないかもしれませんので、「go to 〇〇」と置き換えて考えてみてください。英語のtoのニュアンスですが、〇〇に向かうという指示目標は明確ですが、〇〇の手前までという待機の意味合いは弱い表現です。
そのため、滑走路手前においては「滑走路手前で待機せよ」を意味するhold short of runwayという用語が使用されます。taxi to C5 holding point, hold short of runwayをワンセットで使用することで、パイロットに停止を意識づけさせることができるのです。
「1年経ってもそんなわかりきったことしか言えないのか」という批判コメントがありますが、航空事故は何年もかけて慎重に調査をします。
航空事故は日本でも世界でも悲惨な事故が何度も起きてきました。今の航空の安全は「過去の事故を繰り返さない」という血で書かれた教訓の上に成り立っています。したがって、事故の原因を誤って結論づけることが最もリスクが大きいため、ほとんど分かりきったような原因であっても数年かけて本当に他の可能性がないかくまなくチェックするのです。
別に航空業界が怠慢なわけではありません。どうか誤解されないよう。
よりによって機長も副操縦士も管制官からの指示を誤認するとは。
ただ誤認するには理由があるはず。それを徹底的に調査して空の安全に役立て欲しい。
私もこの重大なインシデントには及ばないが仕事でちょっとしたトラブルがあった。3人がそれぞれ確認できるタイミングがあったのに1人が誤認している事を誰も気づかなかった。
普段から信頼しているのと忙しさから起こったと思うけど、数人が気づかない事もあるという事を改めて気づいた。
ヒューマンエラーをどうしていくかを考えなくてはいけないですね。
重大な事故は必ずエラーが1つではなく重なっているので、難しいですね。
一般の人は知らないと思いますが、音声による誤認を防ぐため、誘導路にも信号機があるんです。空港を管轄する国交省の怠慢で故障が放置されたり、草刈りがされていなかったりで見えづらいなどあるんです。
音声で管制指示を間違えたのも問題ですが、ハード面でのこう言った国の問題も取り上げてもらいたいですね。
過去10年の間で同様のヒューマンエラーが23件もあったというのは驚きです。安全と思われている航空業界でもギリギリのところでは、一歩違っていれば危ない事例がこれほど多いとは。
これは、初歩的なヒューマンエラーと片付けるだけでは解決しない問題で、AIを活用した警告システムの導入や、管制と操縦士のコミュニケーションを可視化する仕組みなどが求められる。
航空安全というのは、どんなに技術が進歩しても人間の判断や行動に依存する部分が大きい。そのため、過去の事例から学び、柔軟に対応し続ける姿勢は欠かせない。この事故が無駄にならず、将来の安全につながることを願っています。